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2004年2月 7日

CCCD その2

音の作り手も、リスナー側も、多くの人は望んでいないのに
今後発売されるCDはコピーコントロール化される。
レコード会社各社は、
「違法コピーが音楽文化を衰退させる」と主張しているが
果たして本当にそうなのだろうか。

作り手側の発言を見てみると、
やはり「音」に関わるプロの方々だけに、
CCCD化による音の劣化について憂いを感じている人が多い気がする。
例えとして、引用させていただく。

阿部義晴
「MIXの時点でこの音だったら、現場でOKは出さないと思う。」
(公式サイト 日記2002.6.29より転載)

佐久間正英
「あれは音楽への冒涜です。
もちろん音質で音楽自体の本質が変わるモノではありません。
それでも音を作る人間として、音を届ける人間として許せない気持ちです。」
(公式サイト 掲示板 GLAYシングルCCCD化についての書き込みより転載)

これらは音のプロの意見で
一般のリスナーの耳や、家庭に普及しているオーディオで聴いても
わかるレベルではないから問題ない、
という声も、CCCDに賛同している方から聞くことがある。

しかし、そんな問題ではないのは当たり前で
それならば、料理人は客がわからなければ適当な料理を出せばいいし、
レベルの低い客が集う芝居では、俳優に凝った役作りは必要ない、
ということになる。
そんな「わからないのだからこの程度でいいんだ」という考え方は
プロ意識に欠けること甚だしいと思う。
そしてそれは、客を馬鹿にしている以外の何物でもない。


そんな音の面以上に、
そもそもCDをコピーコントロールするということは
皆が違法行為をするだろう、という前提で作られているということで
客を馬鹿にしていること甚だしい。

たしかに、
ネット上で音楽ファイルが違法に入手できてしまうという事実もあり、
違法行為を働いている人がいることも事実なわけだけれど、
だからといって、リスナー、購買者全員を犯罪者の巣窟と見なす、
もしくは小学生のように全体責任を取らせるやり方はいかがなものだろう。
ネット上のファイル交換などに違法コピーの対応をすべきであって
多くのリスナーに、その責を押しつけるべきではないのではないか。

しかも、コピーコントロールを目的としたこのCCCD。
実際は、ちょっとしたスキルがあれば、簡単にプロテクト回避できるらしい。
(あたしはCCCDを持っていないので知らないが)
つまりこのCCCD、音は劣化していて、再生機器はなく、
しかも肝心のコピーコントロールはできていないという
正に百害あって一理無しの代物ということだ。


最近のアンケートでは、
CDにコピーコントロールがついていたら「購入しない」という人は31%を占め
その内36%は聴くこと自体を「あきらめる」と言っている。
あたし個人としても
再生機器もなく、私的コピーもできないCCCDを買うつもりはまったくない。

最近は、山下達郎や佐野元春、宇多田ヒカル等がCCCDを回避し
従来のCDでの発売がニュースにもなっている。
そしてQueenのBrian Mayはこう言っている。
「CDにもっと何かつけたい。
ボーナストラックやディスク、もしくは読んでおもしろかったり
芸術的で楽しめるようなパッケージとか。
そのほうが数人のコソ泥をつかまえようとするよりぜんぜんましだろ!」
(公式サイト 15 Jan 04 CCCD より意訳)

音楽業界関係者は、このBrian Mayの言葉を考えてほしいと思う。
そして、CDに小細工を考える前に、金を出しても買いたい物、
手元に置いておきたい物を作ることを考えてほしいと思う。
だいたい、これだけ物が売れない不景気の世の中で
音楽だけその責を購買者に押しつけるのはおかしいのではないだろうか。

「違法コピーが音楽文化を衰退させる」のも事実だとは思うが
それ以上に
「CCCDは音楽文化を衰退させる」のも事実だろう。

ーメルマガ「シアターレビュー」vol.20よりー

「CCCD その2」奥付

  • Posted : 2004年2月 7日 19:39
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