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2003年11月17日
そして誰もいなくなった
「そして誰もいなくなった」シアターアプル
演出:小島靖
出演:山口祐一郎・匠ひびき・沢田亜矢子・天田俊明・今拓哉・金田賢一・
長谷川哲夫・中島ゆたか・井上高志・野本博・三上直也
昨日千秋楽を迎えた同公演。
日本の歌王・山口祐一郎主演作ということで期待していたのだけれど・・・
非常に残念な芝居だった。
まず、俳優陣が総崩れ。
中には見るに耐えない方もおり、プロとしての在り方さえ疑ってしまった。
さらに、芝居中では違和感を与えない役者、
例えば今拓哉にしても
原作では金持ちのボンボンであるのが、単なるチンピラに。
そしてそのような傾向は主演の山口、匠も同様で
原作とはかけ離れた役作りで舞台に挑んでいる。
それを、歴史的名作の原作への冒涜と取るか
エンターテイメントに徹した新たな舞台と取るかは
意見の分かれるところだと思うが、
エンターテイメント作と言ってしまうには
芝居自体があまりに間延びして退屈すぎた。
これは役者云々より、演出の問題だと思うけれど。
そう、演出も酷い。
当然最初は10人の登場人物が全員舞台上に在るわけだが
上手〜下手、舞台上に役者が散乱しているだけで
どこが話の中心で、今誰を見るべきなのかさえわからない。
横一線でゴールインする徒競走をしているわけではないし、
映像作品のように観客の視点を指示できるわけではないのだから・・・
しかし、実際劇場に足を運んで思ったが
観客のほとんどは山口祐一郎ファン。
何せ、カーテンコールでは手拍子で出演者を迎えていた。
そこで、この舞台を一つの演劇と捉えず
山口祐一郎ファンの為の物と捉えれば
演出方法から、役作りの手段まで理解できる気がする。
それはなぜか?
・・・というところまで書くのはちょっとアレなので、控えるけれど。
山口祐一郎は、日本を代表するミュージカルスターで
今もっとも人気や集客力のある舞台俳優だと思う。
だからこそ、この芝居は非常に残念だと、あたしは思う。
彼自身に関しても勿論だが
商業演劇を、有閑マダムの悦楽にするのか、
一種のエンターテイメントとして
社会的にも文化的にも認知されるものにするのか、
彼のような第一線で活躍し、観客への影響力も大きい人が
その鍵を多く握ると思うからである。
「そして誰もいなくなった」奥付
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