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2003年10月10日
es
映画「es」
2001 / ドイツ
監督:オリバー・ヒルツェヴィゲル
出演:モーリッツ・ブライブトロイ、クリスティアン・ベッケル
ユステゥス・フォン・ドーナニー、ティモ・ディールケス
1971年アメリカ・スタンフォード大学で行われた実験を基にした作品。
新聞広告に応募し、選ばれた20人の男たちは
模擬刑務所で看守役と囚人役に分けられ、ルールに従って2週間を過ごす。
当初は実験を面白がる被験者達だが、
やがて規制される側の囚人と、監視する側の看守は
少しづつその人格にそれぞれの役割が入り込み、
支配と服従を巡って対立や暴力がエスカレート。
ついには、実験という枠からも逸脱した危機的状況に陥っていく・・・
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メルマガ版最初のレビューは、
最近観た中で最もオススメのこの映画を。
粗筋を読んだだけでも、あたしは興味津々で楽しみにしていたのだけれど
人間の集団心理など、人格の深層まで踏み込む内容だというのに
変に難しい作りではなく、エンターテイメントとして楽しめる映画だった。
異常な状況下での人間の狂気・・・
戦争映画で描かれることが多いテーマだが
この映画は「実験」とわかっていても、その環境に必要以上に適応してしまう
人間の怖い一面が描かれている。
この映画、音楽も良かった。
ビーチボーイズの「Wouldn't It Be Nice」(素敵じゃないか)が
荒んだ刑務所内の、ちっとも素敵じゃないシーンで使われていたり。
これが日本映画だったら、シーンに相応しい暗い音が選ばれるんだろうなぁ
なんて思って悲しくなったり。
けれど、この曲も一見明るいけれど
当時のアメリカのドラッグカルチャーを反映した曲だけに
そういった意味合いも込められていたのかもしれない。
人が文化や芸術と呼ぶ物の行き着く先が「人間とは?」ということならば
この映画は、そのある一面を辛辣に描き、且つ娯楽作に仕上げた
最高の一作だと思う。
未見の方は是非見て欲しい映画です。
ーメルマガ「シアターレビュー」vol.2よりー
「es」奥付
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