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2003年4月21日

モンゴル帰りの爺

劇団民芸・紀伊國屋公演
初日の16日に観てきました。

作・演出:水谷龍二
出演:大滝秀治、樫山文枝、杉本孝次、角谷栄次、山本哲也
境賢一、河野しずか、前田真里衣、和田啓作、相葉早苗

一緒に観に行った者たちは、おもしろかった、と言っていました。
私は好きだ、と。
なんだか、まるであたしにはつまらなかっただろう、
また批判するんだろう、と言わんばかりの口振りでしたが・・・

あたしも、つまらなくなかったです。
時間的にも2時間ありませんでしたし、飽きずに観られました。
内容は、と言うと、良くも悪くも「舞台演劇」でした。
ごく日常的な断片を捉え、人々がどう思ったか、どうなのかということを、淡々と表現するという・・・

ここが、舞台が一般に受け入れられない根本だと、あたしは思うのです。
同様に、純文学の本が売れないと嘆かれる理由も。
つまり、自分の心に響いた作品なら良いのですが
そうでなかった場合、だからなんやねん!と思ってしまうのではないでしょうか。

日本映画の低迷も、この理由に依るところが大きいと思われます。
最近、エンターテイメントと呼ばれる、
ストーリーに重きを置かれた作品が映画化されることが日本でも多くなってきましたが
大多数の人の心に届かない、心象風景を描いただけの作品が如何に多いか。
あくまであたしの考えですが
これが日本の、文学も、映画も、舞台も、
すべての発展を妨げている最大要因です。

人間は物語が好きです。
皆さんが本や映画を選ぶときも、ストーリーの概要を見て選択しませんか?
その肝心の物語を創造するクリエイティブな部分が
日本人に最も欠けているところではないでしょうか。
最近アメリカでも評価された「千と千尋」にしても
物語としての評価ではないのだと思います。

そして、男の方が物語に焦がれているような気がします。
女性は、あの人がどうした、どうだ、という手の話が好きな方が多いですよね。
(だから、中年の女性が舞台演劇の客に多いのでしょうが)
その辺りで、男の方がロマンティストだ、などと言われるのかもしれません。


「モンゴル帰りの爺」奥付

  • Posted : 2003年4月21日 02:59
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