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2012年11月29日
■「レ・ミゼラブル」映画公開記念スペシャルイベント・レポート
28日に東京・有楽町の国際フォーラムで「レ・ミゼラブル」映画公開記念スペシャルイベントが行われ、
映画でジャン・バルジャン役のヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman)、ファンテーヌ役のアン・ハサウェイ(Anne Hathaway)、
コゼット役のアマンダ・セイフライド(Amanda Seyfried)、監督のトム・フーパー(Tom Hooper)、
プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュ(Cameron Mackintosh)が出席しました。
イベントは荘口彰久の司会で19時にスタート。まず日本版舞台キャストによる劇中歌が披露されました。
1曲目はプリンシパルキャストとアンサンブルによる「一日の終わりに」(At the End of the Day)。
2曲目は、ジャベール役の川口竜也による「星よ」(Stars)。
3曲目はエポニーヌ役の昆夏美による「オン・マイ・オウン」(On My Own)。
そしてラストの4曲目は、バルジャン役の山口祐一郎、コゼット役の若井久美子、マリウス役の山崎育三郎、
テナルディエ役の駒田一、マダム・テナルディエ役の森公美子、アンジョラス役の上原理生も舞台に上がり、「ワン・デイ・モア」(One Day More)が披露されました。
萩尾瞳による「レ・ミゼラブル」の作品解説、映画予告編などが上映された後、映画版の来日キャストがオケピから迫り上がって登場。
挨拶に続いて、森公美子・山崎育三郎・知念里奈・山口祐一郎・平野綾という日本版舞台キャストによる花束贈呈が行われました。
トム・フーパー監督は、映画の完成は先週の木曜日だったと驚きの事実をスピーチ。
また撮影は、予め歌を録音しておき、後で歌に合わせて芝居を撮る通常のミュージカル映画と違い、
今作では芝居をしながら生で歌唱するというスタイルで撮影が行われたそうです。
また「ジャン・バルジャン役の候補リストはとても短く、たった1人ヒュー・ジャックマンの名前しかなかった。
彼がいなかったら、今この時期に映画を撮らなかったと思う。」と絶賛。
10回目くらいの来日というヒュー・ジャックマンは「ありがとう。こんばんは。日本に来れてとても嬉しいです」と冒頭の挨拶から流暢な日本語を披露。
「マッキントッシュに舞台初演から27年かけて映画化したことに感謝したい、なぜならその頃私はまだ3歳だったから...本当は18歳くらいでしたが。」などと終始ユーモアを交えてトーク。
撮影については「生で歌まで撮るスタイルだったため、毎日舞台の初日を迎える気分で撮影に向かえた。」と述べ、
また20年前、舞台俳優としてキャリアをスタートさせた頃「美女と野獣」のオーディションで「星よ」を歌ったことがあるというエピソードも披露しました。
アマンダ・セイフライドは、11歳の頃からレ・ミゼラブルのファンだったそうで、
7歳の時に「アニー」のオーディションを受けた頃から歌のレッスンを受けていたとのこと。
また「映画の出演依頼を受け取ったのはクリスマスの3日前で、最高のプレゼントだった」と述べています。
そしてトム・フーパーがコゼット役にアマンダ・セイフライドを起用した理由を「最も美しい女優だから」と説明すると、
アン・ハサウェイが「監督を褒めようと思っていたけど、もう知らない」と冗談交じりに突き放すシーンも。
そのアン・ハサウェイは、母が「レ・ミゼラブル」アメリカ・ツアーでファンテーヌを演じていたことから、小さい頃から歌うことに親しんでいたと言い、
最近は映画の仕事が多いものの、若いときは自分のキャリアはミュージカル中心になるものだと思っていたと述べています。
そして意外にも今作が自身にとって初の映画となるキャメロン・マッキントッシュは、
キャストはほぼ全員舞台のキャリアがある俳優であるということを述べ、
映画は三分の一が台詞で、三分の二が歌というような構成になると思っていたところ、
トム・フーパーがそれでは上手くいかないと言い、舞台の脚本を一から再構築して創りなおしたという内幕の披露も。
最後には、来日キャストへ観客からサプライズ。
観客全員が、赤白青の歌詞カードを掲げて会場をトリコロールカラーに染め、全員で「民衆の歌」(The People's Song)を合唱。
ヒュー・ジャックマンは「ありがとうございます」「素晴らしい!」「押忍!」と日本語で挨拶し、舞台を後にしました。
すると今度は、来日キャストが観客にサプライズ。
舞台から捌けた5人が客席中程の通路上手から登場し、観客と挨拶を交わしながら下手へと捌けていき、イベントは終了となりました。
映画『レ・ミゼラブル』は12月21日よりTOHOシネマズ日劇他、全国ロードショー。
また、映画サウンドトラックが12月26日に発売されることも明らかにされています。
CD:12/26発売:レ・ミゼラブル:オリジナル・サウンドトラック [CD][国内盤]
CD:12/26発売:Les Miserables [CD][輸入盤]
■ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」 | 演劇ニュース
■映画「レ・ミゼラブル」キャストなど来日 | 演劇ニュース
■ミュージカル | レ・ミゼラブル
※追記:オフィシャル・レポートが届きましたので、全文を掲載しておきます。
MC:一言ずつご挨拶をお願いします。
トム・フーパー監督:みなさん、こんばんは。
この場にいられて本当にうれしいです。実はこの映画の完成は先週の木曜日でした。
最初にこの作品を携えて訪れた国が日本で大変うれしく思っております。
アン・ハサウェイ:日本のみなさんに温かい歓迎を受け、本当にうれしい気持ちでいっぱいです。
大変素敵なパフォーマンスを見せてくれた日本版舞台キャストのみなさんも本当にありがとう!
ヒュー・ジャックマン:アリガトウ!コンバンハ!ワタシはニホンにこれてホントウに
ウレシイです(ここまで日本語)。日本は本当に大好きです!
何度も日本を訪れていますが、この映画を携えての来日は特別なものです。
この映画を可能にしてくれたトム・フーパー監督、キャメロン・マッキントッシュ、そして
この会場に足を運んでくれたみなさま、ありがとう!
日本舞台版キャストも素晴らしい!(日本語で)アリガトウゴザイマシタ!
アマンダ・セイフライド:(ヒューみたいに)日本語が話せません(笑)。
人生でいちばんエキサイティングな瞬間を迎えています!素晴らしいキャスト・スタッフとともに
この傑作をお披露目、PRできるからです。夢を叶えてくれたここにいるメンバーにも感謝の気持ちでいっぱいです!
クールな日本にも来られて本当にうれしいです。
キャメロン・マッキントッシュ:この中で一人だけ歳とっています(笑)。
25年前の舞台初演から今まで長きに渡って、この作品が日本でこんなに受け入れてもらえるとは夢にも思っていませんでした!
さらにこの映画をたずさえてこの場にたてるなんて、プロデューサー冥利に尽きます。
・ジャン・バルジャン役/ヒューのダイジェスト映像"Valjean's Soliloquy"
ヒュー:文学的にも舞台としても優れている作品に参加することができて
監督、キャメロン、そしてヴィクトル・ユゴーなど、すべての方に感謝をしています。
私は実際、撮影現場に現れるだけで、監督がすべてのキャストを生かしてくれました。
今の映像は自分で観るには辛いものがあるのですが、撮影したあとにこのシーンを観た私の妻が、
私だと気づいてくれないぐらいでした(笑)。私にとってジャン・バルジャンという役は本当に
まれな役だと思っています。マッキントッシュが27年かけて映画化してくださったことに感謝しています。
なぜなら、この作品が生まれたとき、私はまだ3歳だった...いや、サバ読みすぎましたね(笑)。実際は18歳ぐらいでした。
・ファンテーヌ役/アンのダイジェスト映像"End of the Day"
アン:最初の映像、ヒューの素晴らしさに目が行ってしまって...。
今の映像では工場で働いている女性がたくさん出てきていましたがとても素晴らしく、
ファンテーヌをいちばん追い出そうとしている女性はロンドンのウエストエンドで大変有名な舞台女優さんでいらっしゃいます。
この中に参加できたことは、本当に信じがたい思いです!
ファンテーヌは本当に辛い、惨めな目にあいます。
ファンテーヌの痛みというのも娘コゼットのために強いられるものであってそこに演じる苦労はありました。
楽しかったという言葉は演じていて合わないけれど、毎日ヒューという素晴らしい俳優と共演できて現場はとても楽しいものでした。
・コゼット役/アマンダのダイジェスト映像"A Heart Full of Love"
アマンダ:この映像を観ながら、撮影がどんなに楽しかったか、その思い出ばかりが頭に浮かんできます。
ここにいる監督、マッキントッシュに心より感謝しています。
このミュージカルは11歳のときから大好きで大ファンで、自分が演じることは本当に夢でした。
最初に撮影したのがアンと唯一いっしょに撮ったシーンで、そこで彼女が優しさを表現してくれて
アン演じるファンテーヌから生まれた、私が演じるコゼットという女の子がどういう子なのかを
示してくれたと思います。そういう意味で、本当にやりやすいスタートでした。
・スペシャルダイジェスト映像"One Day More"
監督:キャメロンやキャストたちといっしょにここに座っていられることを本当にエキサイティングに思っています!私の旅は、本当に長い旅でした。
先週の木曜日にやっとこの映画が完成しまして、みなさんにこうして観ていただくことができました。
すべてライブで歌っているのですが、この「ライブで歌をやりたい!」という夢を叶えてくれたのが、今ここにいるキャストのみなさんです。
舞台体験そのままに歌で演じることを、しかもクローズアップでできる素晴らしい才能を持った
キャストがいなければ実現しなかったことです。この高いレベルだからこそ、みなさんを
素晴らしい旅に連れ出せるのだと信じています。
マッキントッシュ:25年前にブロードウェイ初演があり、その2ヶ月後に東京でも初上演いたしました。
実はそのときに映画化のプランがありました。しかし、私が信じているのは「運命」というものが最高のプロデューサーだということです。当時は作ってはいけない時期だったんだと思います。
というのも、25年前にはまだ生まれていなかったキャストもいますし、トム・フーパー監督もまだ中学生ぐらいでした。
今が作られるべき時だったんですね。このパーフェクトなキャストが観られるのも今だからこそなんです!
私、これがはじめての映画なので、「グリーンライト」という言葉を学びました。
「ゴーサインが出る」という意味なんですが、25年前にこれが出ていても素晴らしいキャストが揃わなかったと思うんですね。
40年間、ミュージカル界に身を置いておりますが、最高に誇れる映画ができました。
ここにいるキャストも、他のアンサンブルもそうですが、ほとんどがミュージカルの経験があり、トムが描いたビジョンを反映し、すばらしい映画作品に作りあげてくれました。
18ヶ月前、監督とNYでミーティングをしたとき、私は3分の1はセリフで3分の2は歌という構成の映画ができると思っていたんですが、監督はミュージカルの台本を持ち出してきてそれを一旦バラバラにして、そして再構築しましょうと言ってくれました。ほとんど歌のままの形に、彼の提案でなったわけです!
これは奇跡のようなことで私は本当にこの映画を誇りに思っています。
このように、トムというすばらしい人と出会えたことも私の人生の中でもっともハイライトなことになりました。
ここにいるみなさんもそうですが、『レ・ミゼラブル』を支えてくださった世界中のファンがいてくださったからこそ
この映画が出来ました。本当にありがとう!
◆質疑応答内容
Q:生で歌を収録したことについて。
ヒュー:困難よりも良さのほうが上回っていました。
生で歌えたことは、言ってみれば毎日生の舞台に立ってオープニングナイト(初日)を迎えているような気分でした。
帰って就寝するときには、きっとこの歌を歌うことは二度とないんだろうという特別な思いで、いつも撮影に臨めました。
オープニングナイトだけでなく千秋楽とも感じられ、よりよく自由に演じることができました。
生で歌うことを可能にするためにリハーサルも2ヶ月以上十分にとってあり、素材を熟知することもできました。
大変なこともありました。午前8時から夜8時まで歌い続けたり、マイナス2度の山の上で歌わないといけないときもありましたが、
常に、この映画を実現してくださった監督に大変感謝しています。
Q:なぜそんなに歌が上手なんですか?秘密があったら教えてください。
アン:ありがとう!歌うというのは母に教わったものでもあります。とても美しい声を持っている母は
実は『レ・ミゼラブル』アメリカの最初のナショナルツアーで、アンダースタディでファンテーヌを演じたこともあるんです。
ですから、歌うことは自己表現のひとつとして思っていましたし、小さいころから大好きでした。
ボイストレーニングは10年ほど続けていて、それだけに今回『レ・ミゼラブル』で歌う機会をいただけたことは
自分は何年間も予習をしてきたんだなという思いがしました。こういう作品に出るときは
朝起きて寝るまで歌のレッスンは必要ですし、同時にスタミナもつけないといけないですね。
アマンダ:『アニー』のオーディションを受けるために歌の勉強をはじめまして、11歳〜17歳まで歌のレッスンを続けてきました。
俳優業が忙しくなったこともあり途中でやめてしまいましたが、『マンマ・ミーア!』でまた始めました。そのときはABBAの曲を楽しんで歌ったという記憶があります。
本格的に歌のレッスンを再開したのは、この映画のオーディションのためですね。
私にとって歌は一生の趣味であり、歌い続けていきたいです。
ヒュー:20年前、もともと私は舞台俳優として仕事をはじめました。演劇学校を出たばかりだったんですが、
『美女と野獣』のオーディションを受け、"STARS"を歌いました。そのときに「間違っても君はその舞台に出ることはないだろう」と言われました(笑)。
そのあと歌のコーチをつけたほうがいいと言われ、マーティン・フロストという方を紹介されました。
彼の歌があまりにも素晴らしかったので、彼の歌い方を5年ほど真似していました(笑)。
今はアンと同じボイスレッスンを受けていて、長いこと歌の訓練は続けています。
マッキントッシュ:今のヒューの言葉に付け加えさせていただくと、『レ・ミゼラブル』シドニー公演の際に、
ヒューは雇わなかったのですが、歌のコーチのマーティン・フロストは雇いました(笑)。
※アンが記者にマイクを渡すという、優しいハプニング!
Q:配役の決め手は?
監督:私のジャン・バルジャンの候補リストはとても短くて、一人しか名前が挙がっていませんでした。
それはヒュー・ジャックマンでした。(会場より大拍手)
もしヒューがいなかったら、今この時期にこの映画を作らなかったと思います。(さらに大拍手)
映画スターで歌えて演技がきちんと出来る人、ジャン・バルジャンの思いやり、精神性を持っていて
人格者で...この人を置いてバルジャンは考えられないと思います。
ヒューのオーディションをしたのが、去年の5月でNYでした。
そのときは本当にエキサイティングでした。彼が自然にパワフルに歌っているのを聞いて、
この映画の方向性を決めました。歌うことによって新しいヒュー・ジャックマン像を
皆さんにご覧いただけると思っています。
アンもNYでオーディションをしました。ファンテーヌはありとあらゆる映画スターが欲していた役です。
"I Dreamed a Dream"を歌ってくださったとき、吹っ飛びました!
この役は彼女しかいないと思いました。彼女が見せてくれたのは、歌でファンテーヌを表現すること。
物語を語れる女優さんです!
コゼットには世界一美しい映画スターを探したいと思って、ここにお座りでございます(笑)。
(ここでアンとヒューから「なんだって?(笑)」とツッコミ)
いや、最も美しいブロンドの映画スターでした(苦笑)。
真面目な話をすると、アマンダはコゼットに必要なものをすべて持っていました。
明確な強さを秘め、強靭な知性を持っていて、加えて母性というものがこの役には必要でした。
そして彼女は天使の声をお持ちです!
Q.役が決まったとき、どう思われましたか?
アマンダ:興奮しました。心待ちにしていたお返事がいただけたのは
クリスマスの3日前でした。最高のクリスマスプレゼントでした!
ヒュー:スバラシイ!
アン:ここで監督のことを褒めちぎろうと思っていたんですが、さきほど
最高に美しい映画スターをアマンダとおっしゃいましたので、もう私にとっては知らない人だわ(笑)。
いつもは役をいただいたときは喜びでいっぱいで駆け回りたいぐらいなんですが、
この役は違ったんです。自分の夢が叶ったという思いが強すぎて、
そういう表現をすることもできなかったのです。人生において本当に重要なことが
起こったとき、私は静かに心に触れる、心に染み込んでくるみたいです。
時間が流れて今日になっても役が決まったときの喜びが続いています!
本当に自分はなんて幸運なんだろう、人生は捨てたものではないという思いです。
※2500人の観客から来日ゲストに向けて「民衆の歌」の合唱プレゼント。
MC:それでは最後に日本の皆さんにメッセージをお願いします。
ヒュー:アリガトウゴザイマス!スバラシイ!(日本語)
ここにいる来日ゲストを代表して、日本のみなさんにお礼を申し上げます。
日本でとても愛されている『レ・ミゼラブル』という作品を、私たちが映画として
お届けするというのも意義があるものだと思っています。
みなさんと共有できることをうれしく思います。日本にまた来ることができてうれしいです。
(日本語で)スバラシイ!