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2011年10月11日

■井上ひさし生誕77フェスティバル2012

蜷川幸雄、栗山民也、鵜山仁、長塚圭史により、井上ひさしの8作品が1年を通じて上演。
「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」が2012年に催されます。

2010年4月9日、少し長い眠りについた井上ひさし。
1969年の「日本人のへそ」から2009年の「組曲虐殺」まで、40年にわたり70作にも及ぶ戯曲を世の中に生み出しました。
2011年11月16日に77歳の誕生日を迎えることを祝い、2012年に喜寿のフェスティバルの開催が予定されており、
「それは、大変おもしろいね」と、井上ひさし本人も楽しみにしていたそうです。

そして今回、井上戯曲とつながりの深い演出家、蜷川幸雄、栗山民也、鵜山仁に加え、井上戯曲初挑戦となる長塚圭史を迎え、
少し趣向を変え、生誕77年のフェスティバルとして開催されることが決まりました。
長塚圭史「十一ぴきのネコ」、鵜山仁「雪やこんこん」「芭蕉通夜舟」、
栗山民也「闇に咲く花」「藪原検校」「組曲虐殺」、
蜷川幸雄「しみじみ日本・乃木大将」「日の浦姫物語」と、井上ひさし8作品が、1年を通じて上演されます。

井上ひさし 画像 井上ひさし生誕77フェスティバル2012 ロゴ
撮影:落合高仁

▼井上ひさし生誕77フェスティバル2012

第1弾「十一ぴきのネコ
日程:2012/1/10〜1/31 紀伊國屋サザンシアター
主催:こまつ座&ホリプロ(予定)
演出:長塚圭史
脚本:井上ひさし
出演:北村有起哉/中村まこと/市川しんぺー/粟根まこと/蟹江一平/福田転球/大堀こういち/木村靖司/辰巳智秋/田鍋謙一郎/山内圭哉/勝部演之
チケット:[東京]
独自の劇空間を構築し続ける現代演劇の気鋭・長塚圭史が、井上作品を初演出。
井上ひさしが馬場のぼる作の絵本「11ぴきのねこ」を原作に書き上げた初期戯曲「十一ぴきのネコ」をどう演出し、どう蘇らせるか、必見。
劇場はきっと、たくさんの子どもたちの笑顔であふれる。


第2弾「雪やこんこん」
日程:2012/2/19〜3/11 紀伊國屋サザンシアター(東京)
   2012/3/16〜3/17 森ノ宮ピロティホール(大阪)
主催:こまつ座
演出:鵜山仁
脚本:井上ひさし
出演:高畑淳子/金内喜久夫/今拓哉/村田雄浩/山田まりや/宇宙/佐藤麻衣子/新井康弘/キムラ緑子
チケット:[東京][大阪]
演出家・鵜山仁が1987年に井上作品に初挑戦したのが本作「雪やこんこん」。
その時の演出で第39回芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。その後、91年、99年に再演。
鵜山仁 ×「雪やこんこん」の名コンビが装い新たに11年ぶりの復活。豪華出演者にも注目!


第3弾「闇に咲く花」
日程:2012/4/19〜4/29 紀伊國屋サザンシアター(東京)
主催:こまつ座
演出:栗山民也
脚本:井上ひさし
出演:辻萬長/石母田史朗/浅野雅博/増子倭文江/山本道子/藤本喜久子/井上薫/高島玲/大樹桜/小林隆/北川響/石田圭祐/水村直也
チケット:[東京]
忘れてはならない戦争の記憶を語り継ぐ戯曲を、栗山民也が本作6回目の演出で再演。
生前、井上ひさしが「この舞台をごらんになることで歴史の証人におなりになる。
こんなめでたいことがあるでしょうか」と語った作品。
ぜひ、その目に、人間の強さ、やさしさを、映してください。


第4弾「藪原検校」
日程:2012/6/12〜7/1 世田谷パブリックシアター(東京)
   2012/7/06〜7/08 兵庫県立芸術文化センター阪急(兵庫)
   2012/7/14〜7/15 新潟市民芸術文化会館 劇場(新潟)
主催:こまつ座&公益財団法人せたがや文化財団(予定)
演出:栗山民也
脚本:井上ひさし
出演:野村萬斎/秋山菜津子/浅野和之/小日向文世/熊谷真実/山内圭哉/たかお鷹/大鷹明良/津田真澄/山崎薫
チケット:[東京][兵庫][新潟]
ニューヨークやロンドン、パリなど世界各都市で上演され、賞賛を受けた傑作。
1970年代に書かれた名戯曲を2012年に蘇らせるのは、井上作品を数々手がけてきた栗山民也。
主人公である悪党・杉の市役は、狂言師・野村萬斎。この大悪党の紡ぐストーリーが、観る人の心に何を残すのか。


第5弾「しみじみ日本・乃木大将」
日程:2012/7/12〜7/29 彩の国さいたま芸術劇場(埼玉)
   2012/8/02〜8/05 イオン化粧品シアターBRAVA!(大阪)
   2012/8/25〜8/26 新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ(新潟)
主催:こまつ座&ホリプロ&公益財団法人埼玉芸術文化振興財団
演出:蜷川幸雄
脚本:井上ひさし
出演:風間杜夫/根岸季衣/六平直政/山崎一/大石継太/朝海ひかる/香寿たつき/吉田鋼太郎
チケット:[埼玉][大阪][新潟]
第31回読売文学賞(戯曲賞)を受賞した名戯曲を、蜷川幸雄が演出。
なぜ乃木将軍は夫人と共に自決したのかを、将軍の愛馬たちが語り紡いでいく、珠玉のストーリー。
こまつ座では21年ぶりの上演となる、ばかばかしいけれどかなしくて、せつないけれどおもしろい名作を豪華キャストたちが彩る。
公演プログラム

第6弾 こまつ座「芭蕉通夜舟」
日程:2012/8/17〜9/2 紀伊國屋サザンシアター(東京)
   2012/9/15 サンケイホールブリーゼ(大阪)
主催:こまつ座
演出:鵜山仁
脚本:井上ひさし
出演:坂東三津五郎/坂東八大/櫻井章喜/林田一高/坂東三久太郎
チケット:[東京][大阪]
松尾芭蕉の心の変遷をきめ細やかに描く物語。数人の黒子が登場する他は、ほぼ一人芝居。
けれど、シンプルな構成ではないのが、この舞台。三十六句の歌仙にちなんだ全三十六景を、鮮やかな場面転換で魅せていく。
演出家・鵜山仁には、この舞台をどう彩るか。


第7弾「日の浦姫物語
日程:2012/11/10〜12/2 Bunkamuraシアターコクーン
主催:こまつ座&ホリプロ
演出:蜷川幸雄
脚本:井上ひさし
出演:大竹しのぶ/藤原竜也/立石凉子/木場勝己/他
チケット:[東京]
近親相姦、実子と契り......おぞましき運命の中で小さな光を求め生きる日の浦姫。
その悲劇的な話に笑いをちりばめた井上ワールド全開の作品を、世界的演出家・蜷川幸雄が手がける。
1978年に文学座で初演を迎えた本作が、こまつ座&ホリプロで初上演。いよいよ、ここに、新たな悲劇と笑いが生まれる。


第8弾「組曲虐殺」
日程:2012/12/7~12/30 天王洲 銀河劇場(東京)
   2013/1/12〜1/13 キャナルシティ劇場(福岡)
   2013/1/16〜1/17 本多の森ホール(石川)
   2013/1/19〜1/21 シアター・ドラマシティ(大阪)
   2013/1/23 新潟市民芸術文化会館 劇場(新潟)
   2013/1/26 市川市文化会館(千葉)
   2013/1/29 広島市文化交流会館(広島)
   2013/2/03 愛知県芸術劇場(愛知)
主催:こまつ座&ホリプロ
演出:栗山民也
脚本:井上ひさし
音楽・演奏:小曽根真
出演:井上芳雄/石原さとみ/山本龍二/山崎一/神野三鈴/高畑淳子
チケット:[東京][福岡][石川][大阪][新潟][千葉][広島][愛知]
井上ひさし生誕77フェスティバルの最後を飾る、井上ひさし最期の戯曲「組曲虐殺」の演出を務めるのは、井上作品を数々演出してきた栗山民也。
井上芳雄、石原さとみをはじめ、2009年の初演時と同じキャストで、再演。
わずか29年と4カ月しか生きることを許されなかった小林多喜二の人生を通して、感動を、希望を、未来へと伝える。


▼フェスティバルによせて
蜷川幸雄
私は井上ひさしさんとは最も遠いところにいる演出家と思われているかもしれません。
しかし、ほぼ同じ時代を生きたものが全力で、この腐敗した世界を疾走しようとする時、走る者の吐く息と吸う息は、離れた場所にいても共有しているのです。
このフェスティバルでは、私は孤独な参加者でありますが、誠実な参加者でありたいと、思っています。

栗山民也
井上さんの書いたいくつもの台詞は、そのまま、井上さんの声となって聴こえてきます。
台本を開いて、一つひとつの言葉をそこから聴くのです。
声は音ですから、頁をめくるたびに登場人物たちの声となって重なり合い、いろんな和音で聴こえてきます。
台本には、同じ大きさの活字が並んでいますが、それがどんな状況のもとで発語されるかによって、意味は違います。
俳優たちは、その活字を人間の声に必死で立ち上げます。
私たちは稽古場で台本に刷られた一つひとつの言葉に、どんな人間の気持ちが隠されているかを見つけ出すことから出発し、
その台詞に一番適った音を発するために、稽古を続けるのです。
そのうち、井上さんの台本の中のすべての言葉が、人間のあらゆる感情を表す声のために書かれた、音楽のように聴こえてきます。
その井上さんの77のお祝いのために、8本の作品が揃いました。
どこまでも水のように静かに、ある時は激しく動き続ける台詞の流れに、耳をすましてみましょう。
きっと、その物語の森の中で、必死に生きようとしている多くの人たちと出会うでしょう。

鵜山仁
井上ひさしという劇作家と、同時代を生きることができたこと。
その新作を演出する機会に恵まれ、稽古場を、また劇場での時間を共に享受することができたこと。
これは僕の演劇人生にとって決定的な出来事でした。
何より有り難かったのは、僕自身、時には疑ってしまう「芝居の力」、「劇場の力」に対する信頼を、心の底で支えてもらえたことです。
今後は、芝居にたずさわる危険と悩み、誇りと楽しみを、いくらかでも若い世代の人達に伝えていきたいと願っています。
生誕77年フェスティバルが777年フェスティバルにつながる期待を込めて、この企画を喜びたいと思います。

長塚圭史
『父と暮せば』の英訳版と出会ったのは留学中でした。
オリジナルの日本語版も載っていましたので、これはもうすぐにと下調べを始め、ナショナルシアターのスタジオで英国人俳優たちとワークショップをやりました。
その時、改めて井上ひさしさんのメッセージの根幹は国境を越えるものであるという強い実感を得ました。
そして私にとっては、この作品を通して異国の演劇人たちと議論を繰り返しながら試行錯誤したこのワークショップで、演劇の持つ可能性と豊かさを得る事が出来たのです。
2011年夏、とうとう『父と暮せば』を生で観ることが出来ました。どうにも涙が止まりませんでした。
『父と暮せば』も泣いていましたから。「しっかりなさい」と舞台上から井上さんが日本人全員に仰っているよう感じました。
このフェスティバルを通して井上さんの人間を鋭く見つめる眼差しを、しっかりと皆様にお届けしたいと思います。

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「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」奥付

  • Posted : 2011年10月11日 18:15
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