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2011年9月11日
■第68回ベネチア国際映画祭「ヒミズ」染谷将太・二階堂ふみが新人俳優賞
10日に第68回ベネチア国際映画祭の授賞式が行われ、園子温監督「ヒミズ」に出演した染谷将太と二階堂ふみが新人俳優賞を受賞しました。
世界3大映画祭のひとつに数えられる第68回ベネチア国際映画祭(68th Venice Film Festival)は、
8月31日から9月10日にイタリア北部のベネチアで開催。
10日夜には授賞式が催され、コンペティション部門の結果が発表されました。
最高賞「金獅子賞」(Golden Lion)は、ロシアのアレクサンドル・ソクーロフ(Alexander Sokurov)監督「ファウスト(Faust)」が受賞。
そして日本から唯一コンペ部門に出品されていた園子温監督「ヒミズ」(Himizu)から、
染谷将太と二階堂ふみが新人俳優賞に該当するマルチェロ・マストロヤンニ(Marcello Mastroianni)を受賞しました。
同賞を日本人が受賞するのは初めてのこと。
「ヒミズ」は、2001年よりヤングマガジンで連載された古谷実によるコミックの実写映画化。
園子温監督にとっては初の原作もので、若者の暗部を抉るダークなストーリーに挑戦した衝撃の問題作。
キャストは、染谷将太・二階堂ふみを中心に、渡辺哲・吹越満・神楽坂恵・光石研・渡辺真起子・黒沢あすか・でんでん・村上淳・
窪塚洋介・吉高由里子・西島隆弘・鈴木杏が出演。
園子温監督は、2010年「冷たい熱帯魚」で第67回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門に出品した他、
2009年「愛のむきだし」を第59回ベルリン国際映画祭、2011年「恋の罪」をカンヌ国際映画祭と、
世界の映画祭に出品していますが、コンペ部門への出品は今回が初めてでした。
なお同作は、9月8日よりカナダで開催される第36回トロント国際映画祭Contemporary World Cinema部門、
10月6日より韓国で開催される第16回釜山国際映画祭A Window on Asian Cinema部門にも出品が決まっています。
その他、今回の映画祭ではオリゾンティ部門では塚本晋也監督、Cocco主演「KOTOKO」が最高賞に該当するオリゾンティ賞を受賞。
また、北野武監督作にちなんだ監督・ばんざい!賞(Glory to the Filmmaker)には、アル・パチーノ(Al Pacino)が選ばれています。
▼第68回ベネチア国際映画祭
金獅子賞(最高賞):「ファウスト」アレクサンドル・ソクーロフ監督(ロシア)
銀獅子賞(監督賞):蔡尚君監督「人山人海」(中国・香港)
コッパ・ヴォルピ(男優賞):マイケル・ファスべンダー「シェイム」(イギリス)
コッパ・ヴォルピ(女優賞):デニー・イップ「シンプル・ライフ」(中国・香港)
マルチェロ・マストロヤンニ(新人賞):染谷将太/二階堂ふみ「ヒミズ」(日本)
オゼッラ賞(撮影技術賞):ロビン・ライアン「嵐が丘」(イギリス)
オゼッラ賞(脚本賞):ヨルゴス・ランティモス&エフティミス・フィリッポー「アルプス」(ギリシャ)
審査員特別賞:「テッラフェルマ」エマヌエレ・クリアレーゼ監督(イタリア)
[オフィシャルサイト]
●「ヒミズ」
公開:2012/1/14
配給:GAGA
監督・脚本:園子温
原作:古谷実「ヒミズ」
出演:染谷将太/二階堂ふみ/渡辺哲/吹越満/神楽坂恵/光石研/
渡辺真起子/黒沢あすか/でんでん/村上淳/
窪塚洋介/吉高由里子/西島隆弘/鈴木杏
[オフィシャルサイト]
あらすじ
住田祐一、15歳。願いは、「普通」な大人になること。茶沢景子、15歳。夢は、愛する人と守り守られ生きること。
そんな2人の日常は、住田が起こした、ある事件をきっかけに一変する。
絶望と狂気に満ちた、壮絶な物語が今、幕を開ける--!
「行け!稲中卓球部」の古谷実がギャグを封印し、若者の暗部を抉った問題作「ヒミズ」。
渇望されつつも「まさか」と思われたこの作品の映画化に挑むのは、『冷たい熱帯魚』で世界を震撼させた園子温監督。
2012年、誰も観たことがない、全く新しい青春映画が誕生する。覚悟せよ--。
※追記:2011/09/11記者会見 at CROSS COOP青山
質問:受賞の知らせを聞いたときの感想を教えてください。
染谷:本当か?と疑いました。いまでもあまり実感がなくふわふわしているのですが、こうやって会見を開いていただいたりと、徐々に実感してきました。
二階堂:私は染谷くんからの電話で聞きました。まだ実感がありません・・・。
質問:監督から染谷さんに電話があったそうですね?
染谷:はい。授賞式がおわった直後に監督は電話をくれました。僕をびっくりさせようと思ったようなんですが、実は、僕はもう知っていたんですね(笑)。おたがい感謝の思いを述べあいました。
質問:監督からの具体的な言葉は?
染谷:おめでとう。という言葉でした。お互い照れ屋なんで、そんな感じでした。
質問:二階堂さんは?監督からご連絡は?
二階堂:わたし、監督から電話がなかったんです・・・染谷さんから昨日すごい高いテンションで電話をもらいました(笑)
質問:ベネチアの現地の反応は?
染谷:自分の映画でスタンディング・オべーションを初体験したのですが、ベネチアの皆さんすごい拍手を送ってくださって、劇中のセリフ「がんばれ住田!」をイタリアの方々から日本語で声をかけてもらったのが印象的でした。
二階堂:拍手がなかなか止まらなくて、すごくうるうるきてしまったんですけれど、海外の方にこの映画を見ていただいたことがすごく嬉しかったし、「がんばれ!」っていうのを私たちに対してだけでなく、日本に対して言ってくれているような気がしました。
質問:園監督の現場はいかがでしたか?
染谷:現場では一回リハーサルをやって、すぐにテストをやらずに本番にいくんです。でもだめだと「もっと、もっと!」と。厳しいというか、奮い立たせてくれるという現場でした。
二階堂:最初のリハでは緊張だったり不安だったりいろいろなものが入り混じって怖かったです。ひと通り終わった後、監督に、「二階堂くんは・・・・4点。」と言われて、すごく悔しかったです。染谷くんは45点とかで。私はセリフが多くてそれに気を取られていたので、次のリハでは60点目指して頑張りました。そうしたら、次のリハでは笑顔で「12点だ。」と。「私、60点目指していたんです」といったら、「限りなく60点にちかい12点だ。」とよく分からないことを言われました(笑)。愛のある現場でした。
質問:この賞はお二人にとってはどのくらいの重みがありますか。
染谷:この映画で僕らが演じたのは困難に立ち向かう若者です。映画ですし、フィクションで実際にあった出来事ではないですけれども、僕らの演じた困難に立ち向かっている僕らのあがきを見て、すばらしい賞をくれたのだと思います。僕らは役者なので、こうして新人俳優賞をもらえたわけですけれども、世界中にたくさんいる若者たちに対して、地球規模でこれから未来を作っていく若者たちに対しての賞なのではないかと思っています。
二階堂:この賞をもらったからと言って、プレッシャーだとか、スターになったとかは感じていないのですけれど、これからどうなっていくか分からない不安のなかで、体当たりで挑んで頂いたものなので、光栄だと思いますし、賞をとったことにこだわらず、これからもいろんなことを学んで感じて生きていくということが重みなのかなと思います。 染谷:ひとつ、つけ足したいのですけれど、僕らは日本人で、その日本人の若者に賞を与えられるということにものすごく意味があると思います。今後懸け橋というか、そういった存在になっていけたら嬉しいです。
質問:受賞を受けて、自分に対してお祝いとかご褒美は考えていますか?
染谷:この場にいることが僕にとってはだいぶご褒美です。
二階堂:あと10日で誕生日なんですけど、最高の誕生日を迎えられると思います。この会見が終わったらおいしいもの、和菓子が好きなので、おいしい和菓子を食べたいです。
質問:歴史ある映画祭で受賞し、歴史に名が連なるということについてどう思うか。今後役者としてどうなっていきたいか。
染谷:実感はないですが、単純にうれしいですし、子供のころから役者をやっていて、こんなことになると思っていなかった。でもすこしでも映画界、演劇界、TV界が盛り上がっていけば嬉しいです。役者としてはもっとよい演技ができるよう精進していきたいです。
二階堂:私は女優を始めたころから、「世界に出たい」という気持ちがすごく強いんです。ハリウッドで女優をといって具体的なものではなく漠然としているんですが・・今回ベネチアという場所で評価してもらえたということで、夢が一歩前に進んだと思っています。これで満足せずに世界規模で活躍できるよう頑張りたいです。