広告

2010年12月 2日

■川崎市アートセンター「忠臣蔵フェア」

12月9日〜12日、川崎市アートセンターで『忠臣蔵フェア』が開催されます。

1748年の初演から今年で262年と、永らく語り継がれてきた「忠臣蔵」。
大石内蔵助も滞在したというゆかりの地・川崎で、
先人たちが語り継いできたこの"長い伝言ゲーム"に参加する『忠臣蔵フェア』が開催されます。

しかし「忠臣蔵」を上演するとしても、歌舞伎には敵わない。
あのスケール、「歌舞伎座に行く」というスペシャル感、通し狂言という上演時間の長さ...
ならば、劇場にいながら体験できる「幅の広さ」で勝負するのはどうだろう。
ということで、中野成樹+フランケンズ主宰で演出家の中野成樹と、
翻訳家・ドラマトゥルクの長島確が「忠臣蔵」づくしの週末をプロデュース。
「おいしいところ」ばかりを寄せ集めた『フェア』として開催されます。
内容は日替わりで、演劇、無声映画、古典芸能、講演会、コンテストなど多彩なプログラム。
参加アーティストも浪曲界のカリスマ!国本武春から、いま小劇場界若手注目株のロロまで幅広く、
4夜を通して観て初めて1作品という壮大な『忠臣蔵』です。

『忠臣蔵フェア』は、12月9日〜12日に川崎市アートセンター(小田急線「新百合ヶ丘」駅北口徒歩3分)アルテリオ小劇場で開催。


忠臣蔵フェア
日程:2010/12/9〜12/12
会場:川崎市アートセンター アルテリオ小劇場
作:中野成樹
ドラマトゥルク:長島確
主催: 川崎市アートセンター/急な坂スタジオ/しんゆり芸術のまちづくり実行委員会
チケット:1日券(平日):3,000円/1日券(土日):3,500円/4日通し券:8,000円/無声映画単独券:2,000円
[オフィシャルサイト]


忠臣蔵フェア
◆公演日程
12/9 17:45-18:15
【挨拶】中野成樹・長島確「忠臣蔵入門」

12/9 18:30-19:15
【講演】特別講師による「歌舞伎で見る『忠臣蔵』の魅力」

12/9 19:30-20:50
【浪曲】国本武春の浪曲忠臣蔵
浪曲:国本武春
曲師:沢村豊子
曲名:大石山鹿護送、赤垣源蔵徳利の別れ、浪曲教室

12/10 15:00-17:15
【活弁付無声映画 弁士:澤登翠】
『血煙高田の馬場[縮刷版]』昭和3(1928)年作品(6分)
監督:伊藤大輔/主演:大河内傳次郎
『韋駄天数右衛門』昭和8(1933)年作品(52分)
監督:後藤岱山 /主演:羅門光三郎、原駒子、 静田二三夫
『実録忠臣蔵』昭和3(1928)年作品(65分)
監督:牧野省三/主演:伊井蓉峰

12/10 18:30-19:10
【講演】『忠臣蔵(と)のこと』part2 ウォームアップ

12/10 19:30-21:30
【講演】『忠臣蔵(と)のこと』part2 本編

12/11 14:00-14:45
【授業】本多孝『古典』

12/11 15:00-15:45
【殺陣】魂刀流志伎会

12/11 16:00-16:30
【スライド】長島確「パーツで見る忠臣蔵」

12/11 17:00-19:30
【現代演劇】
乞局「松の廊下」のくだり
A.C.O.A.(Acting Company Of A.) 「切腹する」あたり
洪雄大Group「赤穂藩の動揺」作品
ロロ「おかると勘平」の物語
中野成樹(solo) 誤意訳「討入り」

12/11 20:00-20:45
【常磐津節】常磐津文字東久 常磐津紫緒ほか

12/12 14:00-14:30
【演奏】Tokyo Luft Ensemble(金管五重奏)

12/12 15:00-17:30
【現代演劇】
乞局「松の廊下」のくだり
A.C.O.A.(Acting Company Of A.) 「切腹する」あたり
洪雄大Group「赤穂藩の動揺」作品
ロロ「おかると勘平」の物語
中野成樹(solo) 誤意訳「討入り」

12/12 18:00-19:00
【コンテスト】
「忠臣蔵」募集します!
表現方法は自由、個性溢れるパフォーマンスをお待ちしています。
日時:2010年12月12日(日) 予選 11:00 /ファイナリスト5組による決勝戦 18:00
会場:川崎市アートセンターアルテリオ小劇場
募集〆切り:12月5日
[忠臣蔵コンテスト参加者募集!! | 忠臣蔵フェア]

■『忠臣蔵フェア』開催にあたって
去年『忠臣蔵(と)のこと』というのをやってみて、それは忠臣蔵にまつわる諸々への公開勉強会みたいなものだったわけですが、
まあ、とにかくわかったのは「やっぱ忠臣蔵って人気があんなあ! え!? おい!」 ということで、
本番が終わった後にあれほどお客様から声をかけられたのははじめてのことでした。
そして、そのみなさまそれぞれが「いや、あそこの解釈はさ......」とか、「史実でみるとですね、赤穂事件ってのは......」とか、「でもね、結局は梶川につきますよ......」とか、「阿部慎之介って人を知ってますか?」「え? 巨人の?」「いや、そうじゃなくって......浅野を裏で操っていたという説がある......フフフ......」とか、「あなた"外伝"の方はお読みになってないでしょ?」とか、もうね、出るわ出るわ、みなさまこだわりの「My忠臣蔵」の数々!! 
しかし、そのどれもがなんとも魅力的で、みな思い入れたっぷり&自信いっぱい。
で、その時あらためて気がついたのです、きっとこれこそが「忠臣蔵」ってものの魅力そのものなんだろうなあ、などと。
昨年の本番では「この忠臣蔵プロジェクト2年目となる来年の本公演では......4夜連続でやってみます! 忠臣蔵は日本の"ニーベルンクの指輪"です! 僕はワーグナーになります!」と宣言してみましたが、たとえ4夜連続だろうと僕一人が「My忠臣蔵」を気持ちよく熱唱してもきっとそれは忠臣蔵の魅力を発揮させることにはまったくならず、ならば、いっそこういう催しはどうだろう?ということで、今年のこれです。
お芝居あり、映画あり、講演あり、コンテストあり......。うん、だって、こっちの方がフェアでしょ? 
中野成樹

2007年のちょうど討入りと同じ12月14日、公演の初日が開いたばかりの中野さんをつかまえて、「忠臣蔵をやりませんか」とオファーしました。
中野さんは「誤意訳」という一風変わったスタイルで海外の戯曲に取り組んでいる演出家ですが、国も時代も遠く隔たった戯曲を「いまここ」でやる意味を問いつづける誠実さに、私は強く惹かれていました。
また、物語やメッセージをけっして一面的に語らない、さりげないデリカシーにも深く共感していました。
「誤意訳」は別に海外戯曲に限らなくていい。この人なら、9.11以後の世界で、現在の日本で、「忠臣蔵」を、勧善懲悪の美談でもなく、逆に露悪でもなく、あらためて読み直すことができるんじゃないか、と。
それで始まったプロジェクトですが、手をつけてみると、じつはとんでもなく複雑なものでありました。
わかっていたとはいえ、過去の上演例だけでその量たるや半端なく、「ハムレット」同様、関連作品や資料を勉強するのに忙しくて、原作を読む時間などないという、化け物みたいな戯曲でした。
戯曲? いや、「忠臣蔵」というのは、史実からフィクション、たくさんの人たちのさまざまな価値観や思い入れまで含めたあれこれの、はかりしれない集合体だったのです。
無尽蔵とはこのことか、と思ったかどうか、中野さん自身もこれを、たったひとりの演出家の解釈にゆだねてしまうのはなんかちがう......と考え始め、そこでフェアと相成りました。
このかたちこそが「中野版忠臣蔵」ということです。
一筋縄どころか二筋縄でも三筋縄でもいかないこの企画、ぜひお楽しみに。
長島確

関連する演劇・ミュージカルニュース

「川崎市アートセンター「忠臣蔵フェア」」奥付

  • Posted : 2010年12月 2日 18:17
  • Tag :
  • Prev : « 2010年12月の演劇DVD
  • Next : 第23回日刊スポーツ映画大賞 »
  • Category : イベント | 演劇ニュース | シアターリーグ