広告
2010年3月 8日
■新国立劇場の大道具、野積みでカビや腐食
新国立劇場に保管されている舞台道具がコンテナで野積みされ、腐食していると読売新聞が報じています。
これは、読売新聞が3月6日に報じたもの。
新国立劇場は、1997年10月にオペラ公演でこけら落としされた劇場で、
東京都渋谷区・京王新線初台駅に隣接して造られました。
併せて、再演が見込まれる新国立劇場主催公演の舞台装置や衣装などを
保管するための倉庫、新国立劇場舞台美術センターが
千葉県銚子市に建設されています。
しかし、どうやら倉庫に収容しきれなくなっている模様で、
舞台装置の一部が建物の外のコンテナに収容され、10年以上に渡って野積み状態に。
これまでに、カビや腐食も判明しているということです。
98年1月、オペラ「アイーダ」を上演した際、
イタリアの有名演出家ゼフィレッリ氏による舞台装置が大がかりになり、
40フィートコンテナ7個を倉庫の屋外に置いた。2003年には最大で76個が屋外に。
同年、40フィートコンテナ専用の倉庫1棟が新設されたが、現在も野積みは解消していない。
07年度以降、新倉庫建設費約8億円を国に予算要求しているが、認められていない。現地は海から10キロで、潮風の影響を受ける。
1か月後に「ラインの黄金」を控えた昨年2月、装置を点検したところ、
コンテナが腐食して雨漏りし、パネル類がカビに覆われるなど傷んでいた。
急ぎ補修して開演に間に合ったが、4トントラック1台分は廃棄処分に。
「トスカ」もコンテナ2個が腐食、補修が必要だった。オペラ部門ではこれまで制作した77作品のうち、借用・売却分を除き、
34作品分は廃棄し、27作品分を保管中。
このうち7作品分が野積み状態だ。
バレエ部門では、24作品分を倉庫で保管している。同劇場運営財団の韮沢弘志常務理事は「野積みは早急に解決すべき問題。
倉庫増設の予算要求を続ける」としている。
新国立劇場舞台美術センターは、
太平洋まで10kmほど、利根川のすぐ側という、
銚子市豊里台・豊里ニュータウン内という住宅街の中にあります。
1997年10月に開館した劇場のための倉庫ながら、
僅か3ヶ月後の1998年1月には屋外に置かざるを得なくなったというのも不思議ですし、
それほどスペースに余裕がなく、野ざらしにする可能性があったのであれば、
新国立劇場から近いとは言えず、海に近い銚子という場所に
なぜ倉庫が建設されたのかも不思議に感じられます。
なお、この銚子のセンター内には、
保管棟以外にも舞台美術を補修するための美術工作棟、
衣装や道具を一般公開している資料館も設置。
現在は「現代演劇ポスター展 2008」「シェイクスピア展」がイベントとして展示されています。