演劇ニュース

宝塚歌劇団の劇団員を養成する「宝塚音楽学校」（兵庫県宝塚市）に在籍していた女性（１８）が
「（退学の原因となった）万引の事実はなく、退学処分は不当」として、
退学処分の取り消しと慰謝料など１千万円の支払いを求める訴えを神戸地裁に起こしていたことが４日、わかった。

訴えは今月１日付。
訴状によると、女性は平成２０年４月に入学したが、
「学校の許可を受けずに取材に応じたことをきっかけにいじめを受けた」と主張。
さらに「同級生らがコンビニで万引をしたなどの事実を捏造（ねつぞう）して同校に報告した」としている。
同校は報告を受け同年１１月、女性を退学処分とした。

女性は退学処分後、神戸地裁に仮処分命令を申し立て、
同地裁は今年１月、退学処分を無効とする決定を下したが、同校は決定に従わずに同月、２回目の退学処分を通知。
女性は再度同地裁に仮処分を申し立て、認められたが、退学処分が取り消されないため提訴に踏み切った。

女性は同年２月に登校したが、同校の事務長らに登校を拒絶されたといい、女性の代理人は「生徒の身の潔白を訴えたい」としている。
同校は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
「宝塚音楽学校を提訴　退学取り消し求め」：イザ！

わかりづらいので、他紙の情報を含めて時系列にまとめてみます。

2008年4月、第96期生として宝塚音楽学校に入学
　生徒の主張「学校の許可を受けずに取材に応じたことをきっかけにいじめを受けた」
　生徒の主張「同級生らがコンビニで万引をしたなどの事実を捏造して同校に報告した」
2008年11月、学校が生徒を退学処分
2008年12月、退学は無効として神戸地裁に仮処分命令を申し立て
2009年1月、神戸地裁は退学処分を無効と決定。復学を拒否した学校側に1日1万円の支払い命令
2009年1月、学校が生徒を2度目の退学処分
2009年2月、生徒が登校も音楽学校側は拒否
2009年3月、神戸地裁が万引したとは推認できないと判断
　退学処分が取り消されないため、生徒は再度仮処分を申し立て認められる
　2009年10月までに学校は生徒に約110万円を支払い済み
　退学処分は取り消されていない
2009年11月、退学処分の取り消しと慰謝料などを求めて神戸地裁に提訴

難しい問題ですが、焦点は退学の理由は何かということろになりそうですね。
万引きに関しては、裁判所がないと判断したのですから一般的には問題ないということになりますが、
学校の許可を得ず取材を受けたというのは、内規違反に該当しそうです。
ということは、規則違反を犯した生徒が退学処分を受けるのもやむを得ないようにも思えますし、
裁判所の決定に従わない学校側に問題があるようにも思えます。

タカラジェンヌになるには、宝塚音楽学校を卒業するしかないわけで、
生徒側が必死になるのは当然だとは思いますが、
こうして世間に広く知られてしまったことで、
この96期生全体が大きくイメージダウンしてしまったことも確かだと思われます。
関わった生徒達は、他の生徒達にも大きな迷惑をかけてしまったことになりますし、
学校や劇団も、今後の対応や姿勢が問われることとなってしまったのではないでしょうか。

※追記
2010/07/14に、調停が成立しました。
■宝塚音楽学校、元生徒の退学撤回、調停成立 | 演劇ニュース