演劇ニュース

東京西部のＪＲ中央線沿線で、小劇場のオープンが相次いでいる。
今年５月、高円寺に杉並区立杉並芸術会館「座・高円寺」ができたのに続き、１０月には中野に新しく２劇場が誕生する。
都心に近い住宅街という立地が、新たな表現拠点として演劇人に受け入れられているようだ。（飯塚友子）

住宅街が新たな表現拠点になった、ということではないと思いますが、
中野〜吉祥寺にかけての中央線沿線や、
下北沢を中心とした京王井の頭線沿線は劇場や劇団、養成所なども多く、
以前から演劇人が集まる街と言われています。

これまで中野は、一般にそれほど演劇の街という印象がなかったと思いますが、
新たに小劇場が2つ誕生することで、そうしたイメージを強めていくかもしれませんね。

ＪＲ中野駅から歩いて５分の住宅街に、真新しいれんが色の建物がお目見えした。
２階には１０月３日に「その人、女優？」の公演で幕を開ける約１２０席の「テアトルＢＯＮＢＯＮ」が、地下には約７０席の「劇場ＨＯＰＥ」が入る。
付近には、すでに平成１０年にオープンした「ザ・ポケット」と「劇場ＭＯＭＯ」が並び、中野はミニ劇場街の様相を呈している。

ザ・ポケットでは、過去に「東京セレソンデラックス」など若者に人気の劇団が公演を行い、観客動員数を増やした。
４劇場の支配人、笠原玲子さんは「若い演劇人の発表の場を作りたくて劇場を始めたが、２劇場では足りなくなった。
新宿から近く、設備がいいのに、使用料は都心より２、３割は安く、新劇場の利用はすでに来年も３分の２が埋まっている」と話す。
早くも演劇人の注目を集めているようだ。

2階にあるキャパ120の「テアトルBONBON」は、明日東京ヴォードヴィルショーのこけら落とし公演。
一方、地下のキャパ70「劇場HOPE」は10月15日がこけら落としの予定になっています。
また、5月にこけら落とし公演が行われた高円寺の新しい小劇場「座・高円寺」については、
以前座・高円寺 | 演劇ニュースをご参照ください。

●劇団東京ヴォードヴィルショー「その人、女優？」
日程：2009/10/03〜10/12　テアトルBONBON(東京)
作・演出：中島淳彦
出演：あめくみちこ/山本ふじこ/市瀬理都子/奈良崎まどか/羽賀蓉子//佐渡稔/石井愃一/市川勇/山口良一/たかはし等・/まいど豊/玉垣光彦

●桃唄309「死すべき母の石」
日程：2009/10/15〜10/25　テアトルBONBON(東京)
演出：長谷基弘
出演：吉原清司/森宮なつめ/吉田晩秋/山口柚香/佐藤達/貝塚建/國津篤志/洪明花/澤唯/竹田まどか/あらきひとみ/井坂浩/スガナミ

●ノアノオモチャバコ「かもめ」
日程：2009/10/15〜10/20　劇場HOPE(東京)
演出：寺戸隆之
原作：チェーホフ
出演：川崎史/菅野佐知子/松倉かおり/早川紗代/副島正雄/生野和人/北出浩二/杉本大/八木光太郎

ちなみに、2010年3月からBONBONで公演予定の
演劇企画ステージハンズが出演者募集も行われています。

一方で、古くからの繁華街である新宿では今年、かつて「東京サンシャインボーイズ」が公演をした「シアタートップス」がビル所有会社の判断で閉館。
昨年は大規模劇場の「新宿コマ劇場」とその地下に入る「シアターアプル」も幕を下ろしており、都内の劇場地図は西寄りになりつつある。
「演劇の拠点に"中央線"沿線に小劇場続々オープン」：イザ！

こちらも一応付記しておくと、
劇場が西寄りになりつつあると言えそうなのは中小の劇場に限った話で、
商業演劇的な公演を行う大規模な劇場は、
むしろ新宿や渋谷よりも東側に多く集まっています。

しかしいずれにせよ、特にキャパ100程度の小劇場は、
貸館料も高くせざるを得ない都心を離れ、
多少アクセスが悪くとも、演劇人が多く集まる街へと移っていく傾向が進んで行くのかもしれませんね。

■東京の劇場リンク集
■変わる劇場地図 | 演劇ニュース(2008/11)
●ザ・ポケット　劇場MOMO　テアトルBONBON　劇場HOPE