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2009年7月30日
■チケット売れ行き
不況の影響で演劇・ミュージカルのチケットが売れゆきが芳しくないようです。
昨年からの世界的な不況の波は演劇界にも押し寄せ、
と言うよりも、娯楽産業である興行の世界は、
最も影響を受けている業界の一つではないかと思います。
統計的にデータを取ったわけではありませんが、
昨秋頃より劇場には空席が目立つようになった感がありますし、
公演の主催者からもチケットが売り切れないという声を数多く耳にします。
これまでチケット争奪戦になっていたような人気のプロダクション・演出家・俳優の公演であっても、
空席が残されたまま上演されていることも多いようです。
こうした状況は当然ながら日本だけに限ったことではなく、
例えばブロードウェイでは、不況だけが理由とは言えないものの、
昨秋から今年にかけて18もの公演が幕を下ろしています。
また、少し前の話ですが、
オフ・オフ・ブロードウェイでは25%の劇場が閉鎖したり、
実現こそしませんでしたが、
ニューヨーク州ではチケットに課税する予算案が提案されたこともあるなど、
現在の経済状況は民営のプロダクションや劇場だけに
影響を及ぼすに留まっていないことが伺えます。
日本では、ここ数年ミュージカルが引っ張る形で
演劇関連の興行は僅かながらも成長を続けていたと言えますが、
今年は公演数は増加したとしても、売上の面ではマイナス成長となることが予想されます。
もちろん、各劇団やプロダクションも指をくわえて見ているわけではなく、
昨秋、劇団四季が入場料を値下げしたように
チケット価格を従来より低く設定したり、
売れ行きが芳しくない公演チケットにオマケをつけたり、
値下げしたりして販売しているケースもけっこうな数を目にすることができます。
つまり、興行チケットが売れない現状というのは
観劇する側にとっては良い機会であると言えるかもしれません。
以前はどうすればチケットを取ることができるのかわからないような人気の公演でも、
発売日以降、普通にチケットを購入することができたりしますし、
例えば東宝のように従来はあまり値引きをしなかったプロダクションの公演でも、
思いのほか安く販売されていたりもします。
一般のプレイガイドでも、e+の得チケ、チケットぴあでも値引きが行われるなど、
オトクなチケットは確実に増加していることがわかります。
しかし、今年に入って角川がTICKETS@TOKYOという当日券販売サイトを開設しましたが、
到底多くの観客の役に立つと言えるものではなく、
やはりブロードウェイやウエストエンドのTKTSのように
当日券を大幅に割り引いて販売する手法の確立が重要なのではないかと思います。
興行主催者としても、空席で公演を迎えるよりは、と考えるところが多いでしょうし、
映画のように時間が空いた時に安価に観られる体制ができれば、
数ヶ月前から観劇のスケジュールを立てるという、社会人には些か困難なシステムから解放され、
多少なりとも一般成人の観客も増加するのではないでしょうか。