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2009年5月 9日
■和製舞台で欧米に風穴
4月29日の読売新聞がミュージカル「マリー・アントワネット」を取り上げ、「和製舞台で欧米に風穴」という記事を掲載しています。
2006年11月に、日本で世界初演されたミュージカル「マリー・アントワネット」。
作詞・作曲は、ウィーン・ミュージカル「エリザベート」「モーツァルト!」の
ミヒャエル・クンツェとシルヴェスター・リーヴァイのコンビで、
スタッフの多くも欧州の人の手によるものですが、
物語の原作は遠藤周作の「王妃マリー・アントワネット」、
演出も栗山民也が務め、2007年にかけて東京-福岡-大阪-東京で上演されました。
2007年2月には、本場といえるドイツでの公演が決まり、演出も日本同様に栗山民也が担当。
ドイツのブレーメン劇場(Theater Bremen)で2009年1月30日に開幕し、5月31日まで上演される予定になっています。
幾つかの国の製作者から上演の申し出があり、ドイツ公演に続いてオーストリア・ウィーン公演も決まりつつある。
海外公演で、「上演権料として興行収入の10%超が東宝に入る」(増田専務)という収益確保の仕組みもできた。
「作家らに作品料を払うので、会社の収益の柱にはまだならない」が、
一歩を踏み出したのは確かだ。ブレーメンでは123公演を予定する。
記事から察すると、マリー・アントワネットは東宝の作品としてドイツのプロダクションと契約したということでしょうか。
ブレーメンでは123公演を行い、記事に拠ると冬場の公演は厳しかったものの春になって客足は伸びているとのこと。
増田専務は「日本人の作り手を育成したい。だが、壁はまだ厚い」と語る。
国内で活躍する劇団のある主宰者も「いつまでも米の脚本を買っていては、作家や作曲家が育たない」と嘆く。
日本人が脚本や歌を作る日が来てこそ、日本のミュージカル文化が花開く日と言えそうだ。
2009年4月29日 読売新聞朝刊
日本では、東宝・四季・宝塚がシェアの9割を占め、ミュージカルの3強と呼ばれて久しいですが、
劇団として活動する四季や宝塚、愛媛の坊ちゃん劇場などが
(一部ではあっても)オリジナルを制作して上演しているのに対し、
プロダクションとして公演を行う唯一かつ最大手といえる東宝が
オリジナル作を創る意欲をまったく見せないというのが、大きな問題であるように感じられます。
今回のマリー・アントワネットも、ビジネスの形態としては日本発ミュージカルかもしれませんが、
記事にあるように、日本人作家の作品を商業ベースに乗せようという試みが、
東宝には求められていくのではないかと思えます。