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2009年5月21日
■劇団四季が旭川市を提訴
旭川市民文化会館の急な閉鎖に伴い公演に支障が出たとして、
劇団四季は旭川市に約1200万円の損害賠償を求め、旭川地裁に提訴したそうです。
国の基準を超えるアスベスト(石綿)が検出された同会館は、
除去工事のため昨年10月から今年4月まで閉鎖され、
この期間中に公演などを予定していた団体は、
急きょ公演中止や会場変更を余儀なくされた。
劇団四季によると、昨年10月31日に予定していた公演会場を旭川市公会堂に変更。
舞台の拡張工事費や人件費がかさんだ上、収容人数も文化会館に比べ約半分となり、
当初見込んでいた収入が得られなかったという。
劇団四季が旭川市を提訴 「会場急きょ変更で損害」 - 47NEWS
これはおそらく、2008年10月31日に公演を予定していた
「ジーザス・クライスト・スーパースター」旭川市民文化会館公演のことだと思われます。
旭川市民文化会館は、アスベスト除去工事のため
昨年の10月17日〜今年の4月15日まで休館となってしまったため、
四季側は急遽会場を旭川市公会堂ホールに変更して公演を行ったもの。
四季なびgationのドキュメントを見ると、旭川市民文化会館が閉鎖を決めたのが10月16日。
同日、会館使用中止の一報が入ったそうですが、既に800枚以上のチケットが販売済みだったとのこと。
会館は翌17日から閉鎖。四季側は18日にはスタッフが代替会場となる旭川市公会堂の下見に訪れ、
19日には代替会場での公演を決定したということですから、かなり迅速な対応を行ったようです。
会場のキャパを比較すると、文化会館が約1546で公会堂が845。
当日の設営がどういう状況だったかわかりませんが、
おおよそ既に販売されていたチケット分のお客様しか、収容できなかった計算になるでしょうか。
その他、人件費などの諸経費を考え合わせると、損害賠償として請求した1200万円というのは、
文化会館で上演した際の見積もりとの差額という感じではないでしょうか。
旭川市側は、公会堂閉鎖で影響を受けた約200団体と損失補償協議を進めてきたものの、
保障協議の対象となっているのは、確認できる実質的損害のみのため、四季側との要求とは開きがある模様です。
市側の対応の具体的な部分や細かい部分はわかりませんが、
娯楽産業であり、全国の会場を借りて公演を行う四季が
こうして提訴に踏み切るのはどうなのかな、という感じもしますし、
逆に言えば、市の対応がそこまで拙かったということなのかもしれません。
ただ、アスベストが見つかった劇場などの建物は他にもありますが、
とりあえず一時的に飛散を防ぐ対策を施し、公演などの予定を調整しながら工事に入るところもあっただけに、
旭川市もそうした方法は取れなかったのだろうか、というところには思い至ります。
過去の動きを見るとずいぶん急に感じられますし、また急な閉鎖が必要な程深刻な状態だったのならば、
2005年頃から問題視されていたアスベストが見つかるのが、ずいぶん遅いという点が引っかかります。
さらに、市のこうした対応によって補填が行われるということは、
税金を払っている旭川市民にとっても堪ったものではないのではないでしょうか。
今回の劇団四季の提訴自体は賛否両論ありそうですが、
とりあえず旭川市側には、何らかの問題点があったのではないかということは推測できそうな内容に感じられます。