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2009年2月25日
■舞台女優に労災適用
マッスルミュージカル出演者の女優が、NHK番組出演中に重傷を負った事故を
中央労働基準監督署は労災と認定しました。
この事故は、2006年5月にNHK「クイズ日本の顔」収録中、
マッスルミュージカルの女優が、
跳び箱を跳んだ際に左膝十字靱帯を切る大怪我を負ったもの。
会社側は労災を認定せず、
彼女は2007年6月に、労働基準監督署に労災を申請していました。
後に彼女は、必死のリハビリで舞台復帰を果たしたようですが、
普通であれば、アクションをこなす女優として、
舞台に復帰することはかなり難しい状況のはず。
認定されて良かったというよりは、
認定されなかったらちょっと残酷すぎるように思えてしまいます。
弁護士などによると、女性のような舞台出演者は、就労形態の特殊性などから、労働基準法に基づく労働者かどうかの判断は難しいという。労災認定には「労働者」として認められることが重要な条件となっている。女性を支援してきた映画演劇労働組合連合会によると、労基署は女性が事業主の指揮監督下にあるといった「労働者性の判断基準」に該当することなどを理由に挙げたという。
女性はショーの運営会社「デジタルナイン」(東京)と出演契約を結んでいたが、会社側は雇用契約ではなく労災対象とは認めなかった。女性側は、公演などを含め年間2000時間近い拘束を受けるなどして、「労働者性の判断基準」に該当し、実態は労働契約で労災対象とすべきだと主張していた。
同社は「監督署の認定に従い、適正な対応をとっていきたいと考えている」としている。
映演労連によると、認定の困難さや事を荒立てることで契約会社との関係悪化を懸念して、申請をあきらめて泣き寝入りする人もいるという。映演労連は「契約内容の形式面だけで判断せず労災認定を受けたのは大きい。同じ境遇の人が安心して働ける労働環境の整備につながれば」と話す。
「「マッスル」舞台女優に労災適用」:イザ!
プロダクションなどに所属し、作品ごとに出演契約を結んで出演する俳優は、
これまで一般に労働者とは認定されず、
このように仕事現場で事故がおきても、国の補償制度であるはずの
労災(労働災害補償保険)の適用を受けることができませんでした。
これは、日本の俳優にとって数十年来の懸案事項で、
俳優やその関連団体は、国などに補償制度の確立を求め続けています。
今回の場合は、年間2000時間拘束という劇団の体制に近いマッスルミュージカル、
しかも「NHK」番組収録中の出来事。
短期・単発契約になる他の俳優の方々にも、
今後同じように労災が認定されるようになるかといえば疑わしい気も。
俳優など芸能に関わる人に限らず、
派遣・日雇いという雇用形態が増えていますが、
当然、全員に労災の補償はあって然るべきのはず。
世間の実態に見合った法整備、
また雇用・契約する会社側へも抜本的な対応策の確立が求められるところですね。