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2008年8月17日

■攻勢 テレビ局の舞台制作

8月15日読売新聞夕刊「いぶにんぐスペシャル」のコーナーで、
「攻勢 テレビ局の舞台制作」という記事が掲載されています。

二次利用の難しい「舞台」の制作に、
テレビ各局が活発に取り組んでいる狙いを探る、という記事。
TBS・フジ・テレビ東京の3局を個々に取り上げています。

自前の劇場運営■TBS

東京・赤坂の本社わきに3月、客席数1300余の大劇場「赤坂ACTシアター」を開場させ、舞台制作だけでなく、劇場運営にも本格的に乗り出した。
TBSテレビ事業本部の河出洋一部長は「ハイリスク・ハイリターンの映像に比べ、演劇は大きく化けることはないが、生ならではの質の高さなどで、局のイメージを高めることができる。ロングラン上演できれば、ビジネスとしても柱になりうる」と語る。初年度はほぼ全演目の制作にかかわるが、「自前ですべて埋めるのは至難の業」と河出部長。2年目以降は外部公演にも劇場を貸し出し、より安定した運営を目指す。

赤坂ACTシアターは、1995年に完成し、劇団四季とTBSが共同運営していた赤坂ミュージカル劇場が前身。
劇団四季は、1999年に四季劇場[春][秋]が完成したため同劇場の運営を外れましたが、
TBSは劇場の運営を続け、2008年春に赤坂ACTシアターとしてリニューアル・オープンしています。
また、主催している公演を見ると、国内の演劇・ミュージカルはもちろん、
海外からの招聘作、歌舞伎、バレエなど、非常に多岐に渡っている印象があります。

脚本・配役にも関与■フジテレビ 

自主制作の舞台興行は現在、年間50本以上。「10年前より格段に増えている」(同局事業センターの宇津井隆・事業推進担当部長)といい、うち半数以上の舞台では、出資だけではなく、脚本や演出、配役など舞台の中身にも深くかかわるようになっている。
宇津井部長は「テレビ局ならではの娯楽作品を上演しないと意味がない」と強調。時代劇「大奥」の舞台化など、ドラマや映画との連動に力を入れる。
TBSのように自前の劇場を持つことには慎重で、中村勘三郎率いる「平成中村座」の10〜11月公演は、東京・浅草寺境内に仮設小屋を作って公演するスタイルだ。「劇場を持つと稼働率に気を取られ、質の高い作品を次々と作れない」と宇津井部長。「既に優れた劇場があり、そこを利用した方が効率的」と見る。

フジテレビは、シルク・ドゥ・ソレイユ、ドラマや映画との連動作、
大型ミュージカルなど、いかにもフジテレビらしい商業的な興行が多い印象です。
ただし平成中村座は、江戸時代の芝居小屋を再現し、
その雰囲気から味わってもらおうという中村勘三郎などの趣旨に基づくもので、
フジテレビがどうこうというものではないと思いますが・・・

相乗効果に期待■テレビ東京 

出資を伴う自主興行は年間約20本。うち9割が黒字になっている。
橋荘一郎・コンテンツ事業局長は「舞台事業自体の収益でなく、放送にどんな好影響をもたらすかが重要」と力を込める。
かつて番組はCM収入の源とだけ位置づけられたが、今では映画化や関連商品の販売など様々な事業に発展。番組と関連事業との間にどんな相乗関係を構築できるかが課題となっている。演劇もその一つで、同局でも年々、舞台事業への投資が増加傾向にある。
また、多メディア化でテレビ離れが進む中、逆に舞台がヒット番組のきっかけになることもあるという。橋局長は「娯楽がテレビの本質ならば、演劇に目配せしないわけにいかない」と話している。

読売新聞(2008年8月15日)

記事にはありませんが、テレビ朝日も
8月12日から公演が始まったミュージカル「スゥイング!」、
劇団四季「むかしむかしゾウがきた」、ミュージカル「サ・ビ・タ」
「ブルーマングループ」など数多くの舞台を主催しています。

こうした公演といったものに限らないイベント系の開催も目立ちますし、
これからはテレビ局も「ライブ」の主催も1つの柱となっていくのかもしれません。


また、最近はテレビ局の映画制作も非常に目立ちますよね。
むしろ、邦画のヒット作はテレビ局絡みの映画ばかりとも言える状況に感じられます。

2009年の正月映画では、
日本テレビが東宝の「K-20 怪人二十面相・伝」とワーナー・ブラザースの「252-生存者あり」、
フジテレビが松竹の「赤い糸」と東映の「劇場版ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!」、
TBSが東宝の「私は貝になりたい」、
テレビ朝日が松竹の「特命係長 只野仁 劇場版〜最後の特命、只野仁死す〜」、
テレビ東京が東宝の「劇場版BLEACH Fade to Black 君の名を呼ぶ」
と、在京の民放全局が映画制作に携わっているほか、
NHKまでもが東宝の「劇場版MAJOR 友情の一球(ウイニングショット)」で参戦。
さらに最近はUHF局も、公開中の「ネコナデ」など、映画制作への参加が目立ってきています。

テレビのCM枠が売れない、単価が下がった、会社の業績が悪いなど、
テレビ局既存の収益構造が破綻しかけていると思われるニュースが数多く伝えられる昨今、
映画や舞台など、なんとか新たなビジネスモデルを構築しようということなのでしょうね。

演劇界としても、テレビ局の参戦はありがたいことだと思いますが、
現在のテレビ番組のように「数字が取れれば、客が呼べれば、中身はどうでもいい」
といったことにならないか、という辺りがちょっと心配にもなってきます。

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「攻勢 テレビ局の舞台制作」奥付

  • Posted : 2008年8月17日 00:55
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