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2007年9月15日
■黒澤明映画の格安DVD販売差し止め命令
東京地方裁判所は14日、黒澤明監督の映画10作品の格安DVD製造会社に対し、
製造・販売の差し止めと商品の廃棄を命じました。
この裁判は、黒澤明監督の映画のうち
東宝が著作権を持つ「生きる」など1943〜1952年公開の8作と、
角川映画が著作権を持つ「羅生門」など1949〜1950年公開の2作が、
著作権を侵害されたと、両社が販売差し止めなどを求めていたもの。
以前の「ローマの休日」著作権訴訟の判例からもわかるように
映画の著作権は公開後50年と解釈されています。(現在は法改正され70年)
この考え方からすると、この黒澤映画10作はパブリックドメインということで問題ないのですが・・・
70年までの旧著作権法には「著作権の保護期間は著作者の死後38年間」とする規定があったが、
制作会社側は「旧著作権法には監督が著作者だという規定はなく、映画は映画会社が作ったものだ」とし、
「著作権の保護期間は公開後50年間」とする規定により著作権は消滅したと主張した。
これに対し、判決は「黒沢監督は映画の著作者の一人」と認定した上で、
「全作品の著作権は2036年まで存続する」と述べた。
監督が映画の著作者であるのは当たり前ですが、
=著作権所有者か、というとちょっと疑問に思えます。
映画やDVDのクレジットでも著作権は映画制作会社になっていますし、
一般的な感覚でも映画の著作権は映画制作会社に帰属するものですよね。
また、監督に著作権を認めるのであれば、
原作者や戯曲家、その他大勢の映画に関わったスタッフや出演者にも
権利を認めなければおかしな話になってくるような気がします。
さらに言えば、一般的な著作物は、作者の死後50年は保護期間に含まれますから、
例えば映画の中の音楽は著作権が切れているのか、
JASRACに許可を取っているのか、という辺りも問題になってきそうですよね。
著作権法に詳しい弁護士は、
「53年の『ローマの休日』は販売できるのに、50年の『羅生門』は販売できないという、
一般の人には理解しづらい結果で、今後、混乱を招く可能性もある」と話している。
読売新聞
もう既に混乱を招いているような気がしますが・・・
そしてなにより、黒澤映画をはじめとした、邦画DVDは価格が高すぎますよね。
映画は観てもらわないことには始まらないように思えますし、
高い故に名作が観られる機会が減ってしまうのは残念なことに思います。