ペルー生まれ、パラグアイ、アメリカ、日本(川崎)育ち。沖縄、北海道、リマ、ネバダ、所どころに暮らす親族。多文化・多言語に囲まれた環境のもと、岡崎藝術座を率いる劇作家・演出家の神里雄大は、日本に暮らす人々の多様な差異や背景と、移民・移動して生きていく人々の姿に焦点をあて、創作を続けています。
本作では、さまざまな文化や言語や政治などが外部から持ち込まれ、そのなかで衝突、融合、変貌していく架空の島々というイメージを核とし、モチーフを集めました。なかでも、高知出身の2人ーージョン万次郎 (1827-1898)の生涯や、戦後大流行したマンガ「冒険ダン吉」のモデルとも噂された実業家・森小弁 (1869-1945) の外への関心を持ち続けた姿勢は、他者への無理解や排他的な雰囲気の強い現代日本にとって重要な意味を持ち、近年神里が考察している「他者との共生」という問題に繋がっています。
世界に目を向ければ、街に移民が溢れ、国籍や国境の境界線を越えた共生の可能性が問われています。「島」というモチーフと共生への追求によって、いま岡崎藝術座はどんな世界を提示するのでしょうか。ご期待ください。
チケット
http://precog-jp.net/ja/tickets/2015/12/03〜04 熊本公演@早川倉庫
2015/12/17〜20 京都公演@京都芸術センター
2016/01/09〜17 東京公演@早稲田小劇場どらま館
2016/02/03〜08 横浜公演@STスポット
【岡崎藝術座】 演出家・作家の神里雄大の演出作品を上演する目的で結成。南米の照りつけるような太陽のイメージや色彩・言語感覚、川崎ニュータウンの無機質さが混在する作品を創作し、独特の存在感を持つ。2006年『しっぽをつかまれた欲望』で第7回利賀演出家コンクール最優秀演出家賞を受賞。フェスティバル/トーキョー(2010-2012、東京)やTaipei Arts Festival(2012、台湾)など国内外のフェスティバルで公演を行う。『ヘアカットさん』(2009)、『(飲めない人のための)ブラックコーヒー』(2013)が岸田國士戯曲賞最終候補にノミネートされた。