WOWOWは、東京・Bunkamuraの劇場「シアターコクーン」の舞台作品を4月6日(水)より毎週水曜午後5:00に4週連続で放送する。1週目は、ヤクザの世界を舞台に、裏社会に生きる男たちの内的抗争の物語を描く「シダの群れ 岩松了×阿部サダヲ×風間杜夫」だ。劇作家・演出家の岩松了が初めて任侠の世界に挑戦し、阿部サダヲ、江口洋介、小出恵介、伊藤蘭、風間杜夫ら豪華キャストが集結。敵対関係にある組との襲撃事件が引き金となり、組の後継者問題があぶりだされていく・・・。
ステージには、薄暗い部屋の中に大きな窓から夕焼けのような光が差し込み、どこか悲しげで情感的な空気を作り出す。そこへ組長の片腕の水野(風間)、組長の愛人の真知(伊藤)、その息子のタカヒロ(江口)、組長の本妻の息子のツヨシ(小出)など、早々に豪華な顔ぶれが揃い否応なく期待が高まることに。物語は、前半20分で、早くも敵対する組との銃撃戦が繰り広げられ、拳銃から火花が散る激闘は舞台とは思えない緊迫感で、会場を熱い空気で包んでいく。その中で、関西弁で華を添えるのが、ツヨシの愛人・ヨーコを演じる黒川芽衣。そして、観客を笑わせほっとさせるのが下っ端のチンピラ・森本を演じる阿部サダヲだ。阿部は得意の軽妙な演技で、タカヒロに忠誠を尽くす頼りなくも可愛い子分を演じ会場の空気を即座に和らげる。一方で、組を仕切る風間演じる水野に対して、時に声を荒げて心の内をぶちまけ憤り迫っていく・・・。変幻自在な阿部の演技に、
観客は次第に引き込まれていく。また、平坦なシーンにも笑いを生み出す風間との呼吸に一寸の乱れもなく、この絶妙なコンビネーションが岩松演出ならではの面白さだ。
後半、大きな窓から雪がチラつく中、水野と真知の男女の関係、タカヒロとヨーコの悲壮感が胸を打つ。そして、後継者問題がいよいよ深刻化した果てには・・・。重いストーリーの中に、笑いをテンポ良く織り交ぜながら、人間の業を深く描く本作。観終わった後に、哀愁に近い感覚を突きつけられる。
「シアターコクーン豪華4本立て!」
(毎週水曜午後5:00)は4月6日(水)スタート。
「シダの群れ 岩松了×阿部サダヲ×風間杜夫」は、初日の4月6日(水)午後5:00にWOWOWで放送。
▼4/6 17:00〜19:30
WOWOW●
「シダの群れ」日程:2010/9/05〜09/29 Bunkamuraシアターコクーン(東京)
2010/10/4〜10/11 シアターBRAVA!(大阪)
演出・脚本:岩松了
出演:阿部サダヲ/江口洋介/小出恵介/伊藤蘭/風間杜夫/近藤公園/江口のりこ/黒川芽以/尾上寛之/ペ・ジョンミョン