9月25日(火)に第4回 BestMagazineAward「雑誌大賞」各賞の受賞誌発表および贈賞式が行われました。
雑誌大賞は、雑誌およびその周辺業界のブームアップを目指し設立された賞です。
ここに各賞受賞雑誌を発表させていただきます。
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【雑誌大賞】
グランプリ
芸術新潮 2012年4月号 「大友克洋の衝撃」 (新潮社)
準グランプリ
Domani (ドマーニ) 2012年6月号 「バッグサイズ」 (小学館)
【TREND MAKE MAGAZINE賞】
「カーヴィーダンス/樫木裕実」『FYTTE』(学研パブリッシング)
【雑誌新人賞】
『Richesse』 (ハースト婦人画報社)
【POWERFUL MAGAZINE賞】
『週刊文春』 (文藝春秋)
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◆雑誌大賞 グランプリ◆
芸術新潮 2012年4月号 /新潮社
「大友克洋の衝撃」
【受賞理由】
大友克洋氏のイラストによる表紙のインパクトは大きく、ファンならずとも多くの読者の目をひいた。
さらに、描きおろしSF短編やロング・インタビュー、全点撮りおろし!の特別誌上GENGA展と内容が非常に充実しており、編集長、書店員から絶賛された。 特に書店員からは、雑誌・コミック・芸術と売り場も他面展開でき、多くの読者を取りこめたことが高く評価されている。
さまざまなテーマを『芸術新潮』らしく深く鋭く切り込む姿勢、中でもこの号は、コアなファンも納得の充実した濃い内容で、骨太の雑誌の力を感じ、編集長、書店員の票を共に多数獲得し、グランプリを受賞。
【選考委員コメント】
「萌えアニメ絵が全盛のいま、大友克洋の迫力と凄味を再認識させられた特集。大友の軌跡と最新の創作風景がともに堪能できる一冊。」
「初日から飛ぶように売れた。大友のインタビューやアトリエの紹介、そして大友の描く近未来的な不気味さがここに凝縮されている。」
「さすが!の一言。『芸術新潮』らしい切り口。表紙、写真、特集の情報量。保存したいと思う一冊。」
「『芸術新潮』をふだん読まない客層も取り込み、雑誌、コミック、芸術と売り場も他面展開できたため、よく売れた。」
【編集長コメント】
編集長コメントをとのことですが、大友克洋特集に関しては、どうしても一人のファンに戻ってしまいます。中学時代からリアルタイムで大友マンガを体験してきて、まさか自分の編集している雑誌に大友さんが新作を描いてくれる日が来るなんて。生きててよかったと思いました。
この特集はひとえに大友さんの画力と創造力あってのもの。そのパワーに引っぱられて楽しくつくった雑誌が、その道のプロの方々に褒めていただくことになるとは。やっぱり生きててよかった。
大友さん、そして書店員・編集長の皆様、本当にありがとうございます。
(『芸術新潮』編集長 米谷一志)
◆雑誌大賞 準グランプリ◆
Domani (ドマーニ) 2012年6月号/小学館
<バッグサイズ>
【受賞理由】
読者のニーズに対応し、内容は変えずにサイズをコンパクトにするという、ありそうでなかった取り組みが高い評価を得る。
特に書店員からは「OLのための雑誌を貫き、サイズまで変えた(サイズタイプを増やした)努力は素晴らしい」「ゴールデンウィークの旅行客のニーズに応えている」など高く評価され、女性誌の新しいスタイルになるのではないかと期待されている。
リサイズするという英断、読者の評価に、編集長はもちろんのこと、書店員の票を多く集め、準グランプリを受賞。
【選考委員コメント】
「通常号を80%に縮小した『バッグサイズ』を同定価で販売した企画力がすごい。」
「OLのための雑誌を貫いて、サイズまで変えられた努力は素晴らしいと思う。紙にこだわる姿勢も感じた。」
「電車の中でも広げられたり、女性の小さいバッグにも入れられる形態が画期的でした。目のつけどころがよかったと思います。」
「内容は本紙と全く同じでサイズだけ小さくするというのは今までありそうでなかった試みでした。」
【編集長コメント】
「出張先で、たまたまホテルが部屋をグレードアップしてくれて、一人広いツインに宿泊。 大きなバスタブで半身浴しながら、バッグサイズドマーニを読む。極楽極楽」とある読者からの声です。
忙しい女性が、もっと気軽に、ドマーニを読んでくれたら、その試みを、評価していただけて、とても嬉しいです。
(『Domani』編集長 井亀真紀)
◆TREND MAKE MAGAZINE賞◆
『FYTTE』/学研パブリッシング
カーヴィーダンス 樫木裕実
【受賞理由】
今では流行を超え、定着した感のあるカーヴィーダンス。
『FYTTE』は数年前から、カーヴィーダンスの生みの親である樫木裕実さんを取り上げ、カーヴィー ダンスを紹介してきた。
多くのダイエットプログラムがある中で、ロングセラーとなり、人気が冷めないのがすごいと高く評価された。
選考員から「輝いて生きていきたいと願う多くの女性にとって、力をくれる樫木裕実さんを何度となく紹介し、ダンスだけではなく彼女自身にスポットを当てたことがヒットにつながったのでは」、「不況の出版界を救ったキーワード」とまで言わしめ、TREND MAKE MAGAZINE賞を受賞。
【選考委員コメント】
「TV、雑誌の他、芸能人のブログにもよく登場している。実力の伴う注目度なのだろうと思った。」
「類似商品が多いジャンルにも関わらず、シリーズのMOOKが400万部と2年越しのロングセラー となっている点にも注目。」
「自らが輝いて生きていきたいと願ったり、私は輝いていないと不安を抱えている、この時代の多くの女性にとって、力をくれる樫木裕実さんを何度となく紹介。内なる輝きももった彼女にスポットを当てたことがヒットへつながっているのではないか。」
「問合せNo.1の言葉。特に女性の関心が高かったです。」
【編集長コメント】
このたびは、第4回雑誌大賞TREND MAKE MAGAZINE賞をいただきましてありがとうございます。
樫木裕実先生の40代後半とは思えないくびれのすごさと読者を乗せる人柄、元ダンサーならではの楽しいエクサ指導術に担当編集者が
ほれ込み、「日本人女性の体型にあったエクササイズ を」と、初めてカーヴィーダンスを『FYTTE』の付録として先生に作っていただいたのが2010年の3月号。そして、その号はみごと完売。それに気をよくして、先生にご無理をお願いし、3ケ月後にまた、立て続けにカーヴィーダンスエクサDVD第2弾を付録にしました。
あれから2年半が過ぎ、ムックもシリーズ累計422万部となり、「カーヴィラー」と称するカーヴィー ダンスでくびれを作った読者の方々
から、「何をしても取れなかったおなかの脂肪がなくなった!」などと嬉しい報告を続々といただいております。そんな皆さまのおかげで、このような賞を樫木 先生とともに頂戴できて大変光栄です。ありがとうございました。
(『FYTTE』編集長 小中知美)
◆雑誌新人賞◆
『Richesse』/ハースト婦人画報社
【受賞理由】
確かな審美眼と豊かな経験を持ち、物質的にも精神的にもハイレベルなものを求める成熟世代の女性たちに向け創刊された『Richesse』。
GUCCIと京漆器の名店「象彦」のダブルネームによる菓子器をパッケージした特別限定版は、30,000円という価格もインパクト大で「ハイエンドを極めた女性誌の創刊!」「これからが楽しみ」と編集長はもちろんのこと、特に書店員の票を多く集め、新人賞を受賞。
【選考委員コメント】
「高額なのが他と違ってわかりやすかったと思います。内容も深く、面白い。さらに深くなればもっと面白いと思い、期待している。」
「GUCCIと象彦のダブルネームの付録をつけて30,000円という値段。精神的にだけではなく、物質的にもハイエンドを求める女性に向けた、とてつもないアピールだと思った。」
「『GUCCIと象彦の菓子器』は限定書店での取り扱いではあったが、問い合わせを何度もいただき、インパクト大だった。」
【編集長コメント】
この度の新人賞受賞、大変嬉しく感謝いたします。
フランス語で「豊かさ」の意味を持つ「Richesse」は、エイジレスで成熟した女性たちが望む、究極のラグジュアリーを追求し「25ans」のさらなるハイエンドマガジンとして創刊いたしました。
一方で、昨今の雑誌はリアルさを追求するあまり、誌面で夢を見る機会が少なくなってきているようにも思えます。誌面で紹介する「ハイエンドの旅案内」や「オートクチュールのドレス」、「一点もののハイジュエリー」など、実際に利用できるのは限られた富裕層ではありますが、一般の方々へも夢溢れる世界に触れていただく“きっかけ”でありたいと思っています。
(『Richesse』編集長 十河ひろ美)
◆POWERFUL MAGAZINE賞◆
『週刊文春』/文藝春秋
【受賞理由】
大物政治家のスキャンダルをはじめ、タレント、アイドル、スポーツ選手らのスクープを連発。
記事の出るタイミングも絶妙で、2012年上半期、世の中に話題を提供し続けてきた。
選考員から「久しぶりに週刊誌の存在感を示した」「週刊誌は恐いぞということを久しぶりに感じた」と、その存在感・パワーが高く評価され、POWERFUL MAGAZINE賞を受賞。
【選考委員コメント】
「『小沢一郎 妻からの離縁状』は久しぶりの週刊誌のスクープ!他のスクープも、とにかく刺激的な内容満載で、世間に与えたインパクトは凄かった。」
「ずっと安定して売れ続けている上、最近大きなスクープが連続している。」
「とにかくスクープ連発の異常な元気。」
「小沢一郎、橋下市長等大物政治家のスキャンダルと話題への切り込みの鋭さは変わらない。」
「とにかくスクープ記事の刺激度が高い。6月発売号は特に毎回目が離せなかった。週刊誌の未来に一筋の光。」
「島田紳介の独占告白、AKB48指原莉乃の元交際相手とされる男性による告白記事、沢尻エリカの大麻疑惑、オウム真理教・菊地直子の逃走17年全真相、小沢一郎の妻からの離縁状、巨人原監督の1億円恐喝事件・・・など、他誌が書けないスクープを連発。脱帽。」
【編集長コメント】
このたびは「パワフルマガジン賞」をいただきまして、誠にありがとうございます。
私は今年4月に編集長に就任しましたが、一番心掛けていることは、編集部を盛り上げ、その熱を誌面に注ぎ込むことです。そのために大切なことは、現場から「いいネタ」が上がってきたときに躊躇せずゴーサインを出し、人もお金も時間も掛けて勝負に出ることです。後は現場を信じてひたすら待つ。
『小沢一郎 妻からの離縁状』(6月21日号)、『巨人原監督が元暴力団員に一億円払っていた』(6月28日号)はお陰様で2号続けて完売しました。独自ネタでの連続完売は創刊以来初めことです。
編集部のパワーが誌面に反映され、それが読者の皆さんにまで伝わったとしたら、こんなに嬉しい いことはありません。
(『週刊文春』編集長 新谷学)